胃がんの化学療法-抗がん剤&副作用対策


自分の胃がんの進行度はIIa(N0T3)で、進行がんに片足を突っ込んでいる状態でした。
「T3」はがん細胞の組織への浸潤が進んでいる状態、「N0」はリンパ節への転移は確認できない状態を意味します。

現在は、こういう状態では化学療法を行わないのが標準のようです。
そのため、化学療法を受けるかどうかの判断は、医者ではなく自分自身の意思で決めることになりました。

※胃がんの進行状態による治療方針の基準はがん情報サービスをご参照ください

自分の胃袋が千切りにされた進行度検査の画像を見ながら考えたのは、

「N0」ってのは「リンパ転移がない」という意味じゃなく「リンパ転移が確認できない」てことだし、やらないで後悔するよりやったほうがいいかもしれない。

でも本当にリンパ転移してないなら、胃切除だけで終了しても問題ないだろう。

でもネガティブなぼっち人生で、もともと長生きしたくないと思ってるから、このまま果ててもいいんだけど。
といろいろ考えたあげく、たどり着いた結論が、

ま、ハナシのネタにはなるわな。 :笑:

胃がんの代表的な抗がん剤 TS-1

ネットで検索するならGoogle、と同じくらい標準的に処方される抗がん剤です。
基本的にはカプセルですが、飲むのが辛い場合は粉で処方される場合もあります。

胃がんで処方される抗がん剤の中では、副作用が軽いといわれています。
ほとんど副作用を感じない方もいるようですし、「抗がん剤=脱毛」というイメージがありますが、脱毛にもなりにくいようです。

一般的なTS-1の情報については、製薬会社の患者向けページが参考になるかと思います。
投薬治療を開始する際にもらう冊子のWEB版です。

TS-1.jp 患者さんのためのティーエスワン®総合情報サイト

以下は自分が投薬時に体験した副作用とその対策です。
メジャーな副作用もレアなものも体験してますが、世界のどこかの誰かの参考にでもなればと思って記録しておきます。

TS-1投与の前に行うこと

TS-1投与が決まると、まず3日間ほど入院します。
まれに服用してすぐに重篤な副作用が起こることがあるので、初日は医師の管理下で経過観察する必要があるのです。

そのほかの大切な理由として、24時間ぶんの尿をひたすらビーカーに入れて溜めるという作業をしなければなりません :ええっ:

これは「クレアチニンクリアランス」という検査のためで、腎臓の機能検査の一種です。
血液中の老廃物であるクレアチニンが腎臓でろ過されて尿中に排出される量を調べます。

この量と血液中のクレアチニン量を比較して、ろ過機能が低いようなら腎機能が低下していると判断されます。

TS-1は腎臓で解毒されるので、クレアチニンクリアランスの数値に基づいてTS-1の適切な投薬量を算出するのです。
腎臓のろ過機能を上回る量の抗がん剤を投与すると、解毒しきれない分がどんどん体内に蓄積されることになるので、副作用どころのレベルじゃなくなってしまいます。

それでも量が適切でも服用し続けると身体への負担が大きいので、「休薬期間」をとりつつ飲み続けます。
自分の場合は2週間服用して1週間休み、病院で血液検査して2週間分の薬をもらうというサイクルを1年間続けました。

その間仕事はフルタイム。通院の日は半日休み。
ええ、独り身は身体が辛くても働かにゃいかんのですわ :しくしく:

副作用

なんともいえない身体のだるさ

どんなだるさ、と訊かれても説明しようのないだるさ。

発病前の自分は毎日朝9時から夜10時まで働くような人間だったので身体がだるいのは日常茶飯事だったんですが、それとは種類が違うんです。

頭がボーっとする状態は主治医の話では「雲の上を歩いているよう」だと表現する方もいるらしいです。
でも自分は「雲なんて氷と水蒸気の集合体なんだから歩けるわけないだろ」と思う夢のない人間ですので、

「脳みそが油に浮かんでいて頭を90度回転させると脳みそがさらに慣性の法則で90度回る」
と表現してました。

抗がん剤は、いわば細胞を殺すための「毒」ですので、健康な細胞にも負担がかかるのは当然っちゃ当然。
辛い時は休みましょう。

血液検査の異常

TS-1の副作用は造血機能に出てくることが多いようです。
特に免疫機能に関係する白血球が少なくなることがあり、そうなると風邪などに感染しやすく&治りにくくなります。

ただ、自分の場合は白血球にはほぼ問題なし。レアなほうの赤血球に問題が出ました。
抗がん剤なしでも発生する鉄欠乏性貧血の症状が、さらにひどくなったのです。

「鉄欠乏性貧血」て病名自体は一般的すぎて「女子のか弱いアピール」にもなったりしますが、胃切除した者にとっては深刻です。

食べ物から鉄分を取り出して血液に取り込むためには、胃液が必要なのです。
強酸である胃液が食べ物の中の鉄分をイオン化してはじめて、身体に取り入れられるようになります。

ですので、胃を全摘した人は必ず鉄欠乏性貧血になります。
また全摘の場合、ビタミンB12も吸収できなくなり「悪性貧血(巨赤芽球性貧血)」にもなります。

※「悪性」という名称は原因が不明だった時代につけられたもので、実際はB12を投与すれば治りますのでご安心を。

で、自分は全摘じゃなく3分の1残っているので医者のマニュアル的には貧血にならないはずなんですが、

そこはホレ、自分、女ですから。
吸収できないだけじゃなく毎月出ていく量も多いもんで :ぽっ:

しかも、通常の貧血では徐々に鉄量が減ることで身体が順応し、あまり自覚症状が出ない場合も多いんですが、自分は鉄量が急降下したので、症状が重症化しました。

めまい・ふらつきはもちろん、舌の痛み、一番ひどかったのが性格の変貌。
満員電車の中で暴動起こしてやろうかと思うくらい、性格が凶暴化しました。 :怒:

これの対策は、とにもかくにも鉄補給。体内で吸収できるよう加工した鉄剤を飲むのが一般的です。
ただし自分は副作用でトイレに駆け込む頻度がハンパなかったので、点滴で補給しました。

ちなみに点滴は抗がん剤投与が終わった今でも続いています。
恐らく「あがった」ら落ち着くんだろうなと思います。。。。 :・・・:

粘膜関係への副作用

造血機能以外では、粘膜に影響が出ることが多いようです。特に多いのが下痢。
ただでさえ内臓の欠損に順応するまで下痢しやすい状態なのに、ダメージ倍増です。

自分の場合、腎機能があまり良くないらしく、少なめの投薬量で始めたにもかかわらず腸への副作用が強く出てしまいました。
出勤時に途中駅のトイレに駆け込むなんて毎日のようにあったし、さらには水を飲むだけで腸に激痛が走るように。

ついに、缶入りカロリーメイトのココア味を飲んで1時間後にそっくりそのまま出てきた時点でメゲて、処方量を減らしてもらいました。

減薬してからは激痛からは解放されました。下痢自体は続きましたけど。
医者の話では、完全な水状態じゃなければ許容範囲らしいです。

ただ下痢の水分って、食べたものの水分じゃなくて、腸を洗浄するために全身から召集されて腸壁からスプリンクラーのように散布されたものなので、全身が水分を奪われたことによる慢性的な脱水でカッサカサになります。

脱水がわずかなら爪周囲のさかむけ程度で済みますが、指の腹や手のひらまで皮がむけるので、物を持つのも億劫になります。

効率的な水分補給のためには、水やスポーツドリンクよりも「経口補水液」を摂取するのがいいですが、最近はコンビニでも見かけるようになってきたのが嬉しいですね。

そのほか粘膜への影響として頻度が高いのが、眼。
流涙といって、目から鼻に抜ける涙の出口が詰まることで涙がボロボロ出るのです。

泣いていなくても、目は表面の乾燥を防ぐために常に微量の涙を出して潤いを保っています。
使用後の涙は本来は鼻に流れていくんですが、出口が詰まっているから出られない。
行き場のなくなった涙は仕方ないので頬を伝って流れ落ちる。

自分は左目だけ詰まってたので、職場の左前に座っている人にチラチラ見られてました。心配そうな顔で。

い、いや、違う。病気が辛いんじゃないんだってば :ちぇっ:

皮膚の色素沈着

これも頻度の高い副作用です。
メカニズムは不明ですが、日光が当たりやすい場所の皮膚の色が濃くなります。特に指先。
しかも紫外線にあたると悪化するので、なるべく紫外線防止対策をしたほうがいいらしいです。

自分も黒手袋とか帽子とか準備しました。が、めんどくさくなったので挫折。
普段からパラソルとかの女子的紫外線対策が大キライなので、黒くなったら闘病に耐えた勲章だと思えばいいだろってことで。(見た目を気にする年齢でもないしな :・・・:

当初は顔や指に真っ黒な点が出現してさすがにビビりましたが、減薬後は点々が消え、茶色いシミ止まりに。
指先は第一関節から爪側の先全体が茶色になりましたが、他人視点では気付かれない程度だったので、気の持ちようかと。
また化学療法後は徐々に色も戻ってきますしね。

脱毛

最初に「TS-1は脱毛しにくい」と書きました。実際、副作用発現の確率はかなり低いようです。

が、そのレアケースに該当してしまいました。

とはいえ完全なツルッパゲじゃなく、超薄毛程度。
それまで硬くて太くて量が多かった髪の毛は一つに束ねると乾パスタ1.5人分くらいあったんですが、それが0.5人分くらいになりました。

見る角度によって地肌丸見えというハンパな状態だったので、カツラを使うとか思い切って剃るとかいうレベルでもなく。
中途半端状態には中途半端対策ってことで、バンダナを太めのカチューシャのようにして巻いていました。

薄らハゲ期間はそれほど長くなくすぐに一気に生えてきましたが、長い髪の中にピンピンと立った大量の短髪が混ざっていたのが一番中途半端で恥ずかしかったなぁ。
まぁすぐ生えてきてくれたんで良かったんですけど。

ただ完全脱毛した腕の毛も生えてきた時は、ココは一生トゥルントゥルンでいいのに・・・ :ちぇっ: と思いました。

なお、生えてきた髪の毛は元通りというわけではなく、色が薄くなりクセもつくようになりました。
また鎖骨くらいまで伸びると抜ける、という状態が1年くらい続いたので、髪が伸びるどころかどんどん短くなる、という不思議現象も体験しました。

またパーマかけようという気になれる状態まで回復したのは3年くらい経ってからでした。


以上が自分が体験した副作用ですが、TS-1を服用した人全員が同じ体験をするわけではありません。(むしろレア)あくまでひとつのケースとしてご覧ください。

これから化学療法を控え情報収集をしている方もこのページを閲覧していらっしゃるかと思いますが、まったく副作用を感じない方も大勢いますので、あまり不安にならず前向きに治療に臨んでください。
不安になったら主治医に遠慮せず相談してください。手術が済んだら、あとは病気を治すのは医者ではなく自分自身(の治癒能力)です。

そして、治療が終わったら、私のようにハナシのネタにして笑って振り返りましょう :ウインク: