がん治療しながら働くということ


働きざかりの年齢でがんになると、いろいろな面で苦労します。

近年はがん治療も進化し入院治療ではなく通院しながら治療を続けるのが主流になっています。
働きながら治療ができる、と書けば聞こえはいいですが、つまり治療しながら働かなければならないのです。

誰か養ってくれる人がいるなら別ですけど。😩
自分、ぼっちなので、働かなきゃ薬代どころかご飯代も稼げなかったもの。

てことで、自分の経験を踏まえ、発生する問題などを書き出してみました。

お金の問題
自分の身体の問題
周囲の問題
関連サイト

お金の問題

がんにかかる費用は入院・手術代だけではなく、むしろ退院後の治療費のほうが高額になる場合もあります。
外科手術の入院はだいだい2週間前後ですが、治療は1年とか5年とか長期に渡るので、期間も積み重なると額が膨大になってきます。

しかも治療しながら働くとなると、会社も休まなきゃならない、具合が悪くて欠勤もする、残業もできなくなる、てことで収入が減っていきます。

PRESIDENT Onlineの記事によると、がんになって収入が減った「おひとり様」は61%だそうな。
PRESIDENT Online/お金、仕事、相談相手……もし「がん」と診断されたら

がん保険・医療保険

そんなお金の問題を改善する方法として、まずは別記事に書いたがん保険のほか、医療保険にもがん特約がついたものがありますので、それらを利用するのが一番ですね。

当然ながら罹患してからじゃ審査に落ちるので、事前に加入しておかなければなりませんが。
自分はまだ大丈夫、と思ってると痛い目に遭いますよ。😠

ただ、保険の給付金というのは入院や治療の期間を基に給付額が算出されることが多いので、基本的に後払いになります。

給付金が振り込まれるまでは自腹で払わなきゃならないので、治療費のかかる類のがんだとさらに負担が重くなります。

国民健康保険・社会保険

そんな負担を軽くしてくれるのが、国民健康保険や会社で加入している社会保険です。

一般的に知られているのは「高額療養費」ですが、これは「高額な医療費は払い戻します」という制度なので、保険と同じく後払いになり、やはり負担がかかります。

それよりも長期の治療の際に取得しておくべきなのは「限度額認定証」です。

認定証を発行しておくと、高額療養にあたる額があらかじめ限度額として設定されているので、それを超えた金額は支払う必要がなくなります。
病院での会計のほか、調剤薬局の支払いでも使えます。

限度額は収入によって3種類あり、自分のような稼ぎの少ない(泣)労働者は月額8万円くらいに設定されています。

なお、取得の際は認定期間を指定する必要があります。最長期間は1年なので、治療期間がそれ以上に及ぶ場合は、その都度再申請する必要があります。

限度額認定証の発行手続は、国民健康保険の場合は市区町村役場で、社会保険は組織により違うかと思うので、加入している保険組合のホームページで確認しましょう。

そのほか、国民健康保険であれば、収入が低くなった場合は保険料が減額または免除される場合があります。
また社会保険であれば、傷病手当金も給付されます。詳しくは加入している健康保険のホームページで確認してください。

医療費控除(還付申告)

高額になった医療費を確定申告(還付申告)すると、所得税の一部が戻ってきます。
かかった医療費の目安は年額10万円くらいのようです。

申請方法は自分で確定申告している人は一緒に、会社で年末調整している場合はそれとは別に医療費単独で還付申告を行います。

また還付申告は3月までに行う必要はなく、翌年1月1日から5年までの間に申請することができます。

還付申告の方法は、税務署に出向く方法と、オンラインで入力する方法があります。
またオンラインには申請までオンラインでできるe-taxと、書類作成のみオンラインで、提出はプリントアウトしたものを郵送する確定申告書作成コーナーがあります。

e-taxを利用する場合はカードリーダと、電子証明書として住基カードが必要でしたが、今年からはマイナンバーカードが証明書になるようです。

ちなみに、どちらも1年分の医療費の領収書(病院・薬局・病院までの交通費も)を準備し、かかった額を全部記入または入力しなければならないので、かなり面倒です。
でもお金が戻ってくるので、領収書は必ず全部保管しておきましょうね。

なお、お金や公的サポートに関する情報は以下のサイトで詳しく解説されているので、こちらもご確認ください。

がんを学ぶ/社会のサポート

自分の身体の問題

なぜがんになっても通院治療が可能なのかというと、以前より薬の進歩や投薬量のコントロールができて副作用を軽減できるようになったから、というのもあります。
(病院側の裏事情もあると思いますが。次の入院患者がベッドの空きを待っているとか)

だからといって、発病前と同じく働けるかというと、そんなことはありません。
身体の一部を失ったのに元通りなワケないじゃん。しかも薬の副作用も抱えてるし。

がんの部位や治療内容によって状態が違うので、以下はあくまで自分の体験に限った話です。

自分は胃を3分の2切除し、手術後2か月で復職しました。抗がん剤は1年間服用。

当初は朝5時に起きてお粥の朝食を摂り、1時間後にダンピングで悶絶し、落ち着いてから家を出ていました。

通勤時間は約1時間。普通食になってからは、途中駅でトイレに駆け込むのが1日おきくらい。ほぼ全駅のトイレを制覇w
今日こそはもぉ~ダメかもと思うスリリングな朝は、家を出る1時間前までに食べ終われば腸が氾濫しにくい、という塩梅を得てから落ち着きました。

当初は薬の副作用が強く出過ぎて水を飲むだけで腸に激痛が走っていたので、会社でキーボード打ちながら悶絶。

ヘソのすぐ上まで縫合跡があり、ズボンのウエストが食い込むとトイレ直行なので、ボタンは常に開けっ放しに。
自分はオフィスカジュアルだったから丈の長い服で隠してたけど、スーツの男性などは大変なんだろうなぁと思う。

昼食は昼休みの1時間以内に食べなければならず、食後1時間で動悸・発熱、2時間後には手が震えて意識が遠のくというのが毎日。

がん治療しながら働いている人には、程度の差こそあれ、こんなことが起こっているわけですね。

それでも働かなきゃならないっていう。

周囲の問題

上記のような問題を抱えていても、現在の日本では気を配ってくれる人がそんなにいません。

そもそも、こんなことが起こっていること自体知らないし、「退院したからもう治ったんじゃないの」くらいにしか思われていません。
もしくはどう対処していいかわからないから遠巻きに見てるだけとか。

もちろん、今までどおり普通に接してあげようという想いも感じています。それはホントに有難いことです。
さらに、なにかと気を配ってくれる人がいればとても恵まれています。一人で苦しむのは辛いので、そんな人がいたらぜひ頼らせてもらいましょう。

ただ、自分の当時の職場は、遅刻を甘く見るのは1年限定。欠勤は月1回まで。それ以上になるなら「考えてくれ」と言われました。
世の中にはがんと診断されたら早期であっても退職を依願される職場も少なからずあるようなので、それに比べればいい方だったんですが。

こんな会社辞めてやると思っても治療中は転職活動する体力はないし、そもそもがんの病歴のある人間を雇ってくれる企業は多くはないです。

治療中ならまだしも、5年経過したら「元患者」なわけですから、受け入れてもらいたいものです。
もっとも、こちらも面接時に病歴があることを正直に話し、通常業務に差し支えがない、または「これはできないけどそれ以外はできる」ことをはっきり主張する必要がありますが。

最後に、働くがん患者のための情報サイトを載せておきます。
今後も働きながら治療する人が増えてくるでしょうし、患者だけではなく職場など周囲の人たちにも状況を把握してもらって、仕事・治療もどちらも順調に進められる社会になればいいですね。

がん情報サービス/がんと仕事のQ&A
がん情報サービス/がんと共に働く
日経ビジネスONLINE/がんと共に働く 知る・伝える・動き出す